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PDF墨消しチェッカー

PDF黒塗り漏えい事例

黒塗りの不備による個人情報漏えいは、特定の組織の不注意ではなく、PDF の仕組みに由来する構造的な問題として繰り返し起きています。ここでは公表された事案を、再発防止の観点から整理します。

なぜ起きるのか

紙の書類にマジックで塗れば、その下の文字は物理的に消えます。 しかし PDF で黒い四角形を重ねても、それは文字の上に図形を一枚置いただけで、文字データはファイルの中に残ったままです。 コピー&ペースト、全文検索、テキスト抽出のいずれでも読み取れてしまいます。

画面上は完全に隠れて見えるため、作成者にも決裁者にも異常が見えません。 これが「確認したのに漏れる」構造です。

公表された事案

一次情報または報道で確認できたものを掲載しています。

兵庫県

自治体2026年8月3日 公表

公文書公開で電子データとして提供した文書のマスキングが、一定の手順で閲覧できる状態だった。

県政への提案を受け付ける「さわやか提案箱」の意見について公文書公開請求を受け、個人情報等をマスキング処理して電子データで公開したところ、請求者の関係者からの指摘で判明した。対象は 92 人の個人情報(氏名 75 人、住所 48 人、メールアドレス 89 人)。県は請求者側へ電子データの削除を依頼し、対象者へ説明とお詫びの文書を送付している。再発防止策として、送信前のチェックリストによる複数職員での確認と、PDF 化してマスキングする際に非公開情報が判読できない処理方法を確実にとることを挙げている。

技術的な原因
マスキングした PDF を紙に印刷し、再スキャンしたものを公開する手順だったが、2 つのファイルを 1 つにまとめる際、一方を再スキャン後ではなく印刷前の元ファイルで作業していた。

福岡県 北九州市

自治体2026年7月3日 公表

他の事案を受けて自主点検した結果、一部の電子データが、黒塗りした情報を閲覧できる可能性がある状態で提供されていた。

北九州市教育委員会や他都市で黒塗り(マスキング)処理の不備が確認されたことを受け、市が自主点検を実施した。閲覧できる可能性があった情報は 57 件で、個人情報(氏名・住所・電話番号など)1,139 人分と法人情報(法人印の印影など)395 社分。要配慮個人情報やマイナンバーは含まれていない。対象データはすべて回収または廃棄済みで、二次利用は確認されていないとしている。再発防止策として、複数職員による確認の徹底、AI を活用したチェック機能や簡易に確認できるソフトウェアの全庁導入、情報セキュリティ研修の実施を挙げている。

技術的な原因
マスキング後の PDF を「イメージ変換出力」ではなく「印刷メニューの PDF 変換」で作成しており、マスキング箇所をコピーして文書作成ソフトに貼り付けるなどの操作で情報を閲覧できた。

宮城県 大崎市

自治体2025年12月27日 公表

情報公開で提供した PDF の黒塗りが、特定の操作により除去可能な状態だった。

情報公開により提供した一部の PDF ファイルにおいて、個人情報保護のため設定した黒塗り加工が、特定の操作を行うことにより除去可能であることが判明した。情報提供のあった 1 件のほか、可能性のあるものが 2 件確認されている。市は今後、適切な事務手続きの徹底を図り再発防止に努めるとしている。

技術的な原因
黒塗り加工が、特定の操作を行うことにより除去可能な状態だった(具体的な操作と原因は公表されていない)。

千葉県 木更津市

自治体2025年11月13日 公表

ホームページで公開していた会議録 PDF で、本来非表示であるべき個人情報がコピー&ペーストで確認できる状態だった。

令和5(2023)年度第2回木更津市地域包括支援センター運営協議会の会議録について、市ホームページに公開していた PDF ファイルをコピーして Word 等に貼り付けると、本来非表示であるべき個人情報が確認できる状態だったことが判明した。

技術的な原因
非表示にしたはずの箇所の文字が、コピー&ペーストで取り出せる状態で残っていた。

大分大学

大学2023年2月 公表

外部機関に提出した資料の黒塗りが不十分で、編集機能により文字データを取得できる状態だった。

外部機関に提出した資料の黒塗り処理が不適切で、PDF ソフトの編集機能などで文字データが取得できる状態になっていた。対象は学生 62 人、教職員 170 人、学外者 24 人の氏名・所属・学籍番号・学位・インターンシップ先企業名など。当該データはその状態のまま、提供先機関のウェブサイトで公開されていた。

技術的な原因
黒い図形を重ねただけで、下のテキストが削除されていなかった。

事例に共通する点

  • 作成時の確認では見つかっていない。経緯が公表されている事案では、閲覧者や請求者側からの指摘、または他の事案を受けた自主点検で判明している。
  • 作成側は気づけない。公開・提供した後も画面上は正常に見えるため、閲覧者に指摘されるまで分からない。
  • 個人の注意力だけでは防げない。「黒く塗る」作業自体は行われている。PDF への変換方法やファイルの取り違えなど、 手順のどこか一か所で塗った下の情報が残り、しかも画面上では区別がつかない。

手元のファイルを確認する

公開済み・提出済みの PDF が同じ状態になっていないか、その場で診断できます。 ファイルはブラウザ内だけで処理され、サーバーには送信されません。